水道事業の健全化に向けて
近年,各市町村の水道施設は老朽化・人口減少・水質悪化等の諸問題により安全快適な水道水の供給が困難な状況にあります。これを受けて厚生労働省では地域の水道の将来像とそれを実現するための具体的施策をとりまとめた「地域水道ビジョン」の制定を推奨しています。
北海道行政においては、平成22年に「北海道水道ビジョン(仮)」を立ち上げ、平成23年度策定を目指している現状があります。
昨今、水道事業においては大きな事故等があった場合には、水道事業管理者の説明責任が厳しく問われるような事案が発生しています。(例:北見市の高濁度原水流入による断水事故)災害に対しても水道事業者の対策・備えは必要であり、平成7年度阪神淡路大震災や平成16年度新潟中越地震や平成23年度東北地方太平洋沖地震等においても水道施設の損傷により避難生活に多大な不便を被っていることを考えても、水道施設の耐震化は地震国家である日本においては必要不可欠な懸案事項です。
以上のような実情を踏まえ、水道事業管理者は既存インフラに対する理解とそのインフラを将来どう生かすかを決定する、すなわちストックマネジメントやアセットマネジメントを意識した管理が不可欠となっています。
水道ビジョンの五大施策方針
水道ビジョン策定の利点
- 業務指標PI(水道事業ガイドラインJWWA Q100)を用いて、水道事業の現況を客観的な数値で分析・評価することにより、他事業体との比較が可能となり、課題や問題点を明らかにできます。
- 水道ビジョンでは、現状分析から実現方策の検討までを一連の流れに沿って包括的に行いますので、効率的な経営を進めることができます。
- 市民が水道事業に関して、基本方針や運営の実態等の理解をすることができます。
- 水道に係るすべての人々の間で、水道の将来像について共通認識を持つことができ、共通の目標を持って、互いに役割を分担しながら連携して取り組むことができます。